
海外で働いていたり、留学していたりすると、年に一度か二度、数週間だけ日本に戻る時期があります。家族に会い、役所や銀行の用事を片づけ、ついでに旧友と会う。やることは決まっているのに、毎回ふりだしに戻るのが「日本にいるあいだの通信をどうするか」です。空港で借りるのか、スマホにSIMを入れるのか、それとも家族の回線に頼るのか。今回は、よくある三つの選び方を詰まりどころごとに並べたうえで、「毎回用意する」以外の四つ目として、一台を日本に置いておくという考え方を紹介します。
数週間だけの通信が難しいのは、長さではなく手続きのほう
一時帰国の通信が毎回悩ましいのは、滞在が短いからというより、条件が中途半端だからです。二週間や一か月という長さは、月ごとに料金が決まる契約には短すぎて、数日単位の旅行者向けプランには長すぎます。そのうえ、日本の住所・日本で通る本人確認書類・日本名義の支払い手段のうちどれかが欠けていると、その場で選べる手段が一気に減ります。住民票を抜いて出国している場合はとくにそうです。
つまり「どれが一番安いか」より先に、自分がいま用意できる条件は何かを決めておくほうが早く進みます。実家の住所が使えるのか、受け取りを家族に頼めるのか、日本で使えるカードや口座が残っているのか。ここが決まると、選べる方法は自然に二つか三つに絞られます。
帰国中に、何をどれくらい使うのか
方法を選ぶ前に、使う量をざっくり置いておくと迷いません。帰国中の通信は、旅行とも日常とも少し違う使われ方をします。向こうの家族や同僚との連絡が時差で夜中に寄り、写真は普段より多く撮り、役所や銀行の手続きで調べものが増えます。
連絡と調べもの
地図、乗換案内、店や窓口の検索、メッセージのやり取り。一つひとつは軽いのですが、移動の多い日は一日中使い続けることになります。
写真とビデオ通話
久しぶりに会う人が多いぶん、写真と動画が増えます。撮ったその場で送る、向こうに残してきた家族とつなぐ、という使い方が重なると、ここが一番の山になります。
手続きと仕事
滞在中も向こうの仕事や授業が続いている人は、時差に合わせたビデオ会議が入ります。画面共有をする会議は、見るだけの動画より通信を使います。

| 使い方 | 一日あたりの目安 | 二週間の目安 |
|---|---|---|
| 地図・乗換・検索・メッセージ | 0.2〜0.4ギガバイト | 3〜6ギガバイト |
| ビデオ通話(1日1時間ほど) | 0.6〜1.0ギガバイト | 8〜14ギガバイト |
| 写真・動画の共有 | 0.5〜2ギガバイト | 7〜28ギガバイト |
| 動画を見る(標準画質) | 1時間でおよそ1ギガバイト | 見た分だけ |
いずれも目安で、画質の設定や電波の状況、端末の設定によって変わります。ざっくりまとめると、二週間の滞在で10〜20ギガバイト、一か月なら20〜40ギガバイトあたりに収まることが多い、という感覚です。ただし写真と動画の自動バックアップを入れたままだと、この見積もりは簡単に倍になります。帰国前に、バックアップを「無線につながっているときだけ」に変えておくと、ここが跳ねません。
よくある三つの選び方と、その詰まりどころ
その1 空港で借りる
到着ロビーの窓口で受け取り、帰る日に返す方法です。手続きがその場で完結し、日本の住所がなくても受け取れることが多いのが利点です。料金は一日あたりの金額に滞在日数を掛ける形なので、滞在が短いほど向き、長くなるほど効きにくくなります。返却の締め切りが出発日に重なるため、最終日は空港に早めに着く必要があります。年に二度帰るなら、そのたびに同じ受け取りと返却を繰り返すことになります。
その2 プリペイドのSIMやeSIMを入れる
自分のスマートフォン一台だけで足りるなら、これが一番身軽です。ただし端末が対応しているか、回線のロックがかかっていないかの確認が要ります。家族のぶんや、ノートパソコン・タブレットまで面倒を見ようとすると枚数が必要になります。データ通信だけで日本の電話番号が付かないものを選ぶと、銀行や行政の手続きで求められる短い認証番号を受け取れず、そこで止まることがあります。eSIMと持ち運べる一台の違いは別の記事で五つの条件に分けて比べていますので、迷ったらそちらもどうぞ。
その3 家族の回線に相乗りする
実家に回線があるなら、家の中はそれで足ります。外では家族のスマートフォンからつないでもらう形になりますが、これは家族の残量と電池を分け合うということでもあります。昼間に自分が使い切ってしまい、夜に家族が困る、という摩擦は数日なら起きなくても、数週間になると起きます。相手が親世代で、残量の確認そのものに慣れていない場合はなおさらです。
| 見るところ | 空港で借りる | SIM・eSIM | 家族の回線 |
|---|---|---|---|
| つなげる台数 | 複数台まとめて | 入れた端末だけ | 家族の端末しだい |
| 日本の住所・支払い | 不要なことが多い | 要ることがある | 家族のもの |
| 滞在が延びたとき | 日数ぶん増える | 買い直し・追加 | 家族の負担が増える |
| 帰るときの手間 | 返却がある | 抜いて戻す | なし |
| 次に帰国したとき | また一から | また一から | また頼む |
四つ目の考え方=一台を日本に置いておく
ここまでの三つは、どれも「今回の滞在ぶん」を用意する方法です。年に一度でも帰ってくるなら、毎回ゼロから用意するのではなく、持ち運べる一台を日本に置いたままにして、帰ってくる月だけ容量を足すという形も選べます。使う月だけ払う仕組みなら、いない十か月はほとんど寝かせておけます。

この形が向くのは、次のような場合です。
- 返却の予定を帰国日に入れたくない。最終日は荷造りと挨拶で埋まりがちで、窓口に寄る時間が惜しくなります。
- 家族の端末も一緒につなぎたい。実家で親のタブレットや自分のノートパソコンまで面倒を見るなら、一台を共有するほうが早いです。
- 年に二度以上帰る、あるいは次の帰国が決まっている。置いてあれば、次は空港で並ばずに済みます。
- 受け取りを家族に頼める。到着前に実家へ届けてもらえば、着いた日から使えます。
逆に、滞在が数日で、使うのが自分のスマートフォンだけなら、わざわざ置いておく必要はありません。短い滞在は借りるほうが身軽です。また、国内向けの端末をそのまま海外へ持ち出して使うことはできません。向こうでは現地の回線を使い、日本の一台は日本に置いておく、という切り分けになります。
帰国の前にやっておく三つ
1 受け取り先と置き場所を決める
実家に送るのか、空港で受け取るのかを先に決めます。置いておく形にするなら、「どの引き出しに入れておくか」まで家族と共有しておくと、次に帰ったときに探さずに済みます。充電器も一緒にしておきます。
2 端末の設定を帰国仕様にしておく
写真と動画の自動バックアップを無線接続のときだけに変える、アプリの自動更新を手動にする、地図や音楽は向こうにいるうちに端末へ落としておく。この三つだけで、滞在中に出ていく量はかなり変わります。
3 認証の受け取り方を確かめておく
日本の銀行や行政の手続きでは、短い認証番号を受け取る場面があります。いま使える番号で届くのか、アプリでの承認に切り替えられるのかを、出発前に一度試しておくと安心です。
滞在の長さで考え方を変える
最後に、日数で整理しておきます。一週間前後なら、借りるのがいちばん手早い選択です。二週間から一か月は分かれ目で、台数とビデオ通話の多さで判断が変わります。自分のスマートフォン一台で足りるならSIMやeSIM、家族の端末も含めて面倒を見るなら持ち運べる一台が扱いやすくなります。一か月を超える、または年に二度以上帰るなら、置いておく形がいちばん手間が少なくなります。滞在ごとの損得は、何日から「その月だけ足す」が得になるかを泊数で比べた記事の考え方がそのまま使えます。
まとめ
一時帰国の通信は、期間が中途半端で、日本側の住所や支払いが揃わないことがあるため、毎回同じところでつまずきます。まず使う量を二週間で10〜20ギガバイトくらいと置き、自動バックアップを止めてから、空港で借りる・SIMを入れる・家族に頼る・一台を置いておく、の四つを台数と手間で比べるのが近道です。次の帰国が決まっている人ほど、毎回用意し直さない形が効いてきます。
使う月だけ使える、チャージ式のWiFi
帰国する月だけ容量を足して、いない月は寝かせておけます。返却も、次の帰国での再契約もありません。
365チャージWiFiを見る
[…] 一時帰国の数週間、日本のネットはどう用意する?(手段そのものの比較。空港レンタル・プリペイド・家族の回線) […]
[…] 一時帰国の数週間、日本のネットはどう用意する? […]