朝いちばんに会社を出て、午前に二件、昼をはさんで午後に三件。外回りの営業は、移動の合間に仕事を片づける時間の積み重ねです。訪問先の駐車場で見積書を直す、次のお客さまの資料をタブレットで開き直す、夕方には車の中で日報を送る。どれも通信が前提なのに、実際には「社用スマホのテザリングでなんとなく」のまま回している職場が少なくありません。そして月末になると、スマホの容量が足りない、電池が夕方まで持たない、同乗した同僚のノートPCがつながらない、といった小さな詰まりが出てきます。この記事では、営業車での通信を一つの手段だけで抱え込まず、役割を分けて組み合わせるという考え方で整理します。容量や電池の持ちは端末と電波の状況で大きく変わるため、ここに書く数字は目安として読んでください。
外回りの一日で、通信がどこで要るかを並べてみる
組み合わせを考える前に、一日のどこで何をしているかを書き出しておくと判断がぶれません。ルート営業や訪問型の仕事でよくある場面は、だいたい次の五つです。
一つめは移動中のナビと渋滞確認。地図アプリは画面を表示しているあいだ少しずつデータを使いますが、量としては大きくありません。二つめは訪問先の直前に資料を開き直すことで、クラウドに置いた提案書やカタログのPDFを開く程度なら、数MBから数十MBで済むことが多いはずです。三つめは駐車場でのWeb会議や商談で、ここが一番重くなります。映像つきの会議は、画質にもよりますが1時間でおおむね数百MBから1GB程度を見ておくと安心です。四つめは見積書や契約書の作成と送信、五つめは帰社前の日報と写真の報告です。
こうして並べると、量として効いてくるのは会議と写真であり、それ以外は細かい通信が一日に何十回も発生する、という形になっていることがわかります。量よりも「必要なときにすぐつながること」が大事な使い方だと言えます。地図アプリの使用量の目安は地図アプリをカーナビ代わりにしたときの記事で詳しく整理しています。

一つの手段で抱え込むと、どこで詰まるか
いまの回し方をそのまま続けたときに、どこで詰まりやすいかを先に見ておきます。組み合わせる理由は、ここに出てくる弱点をお互いに埋め合うためです。
社用スマホのテザリングだけで回す場合
手軽さでは一番です。ただし、スマホ一台に「電話」「ナビ」「通信の親機」の三役を背負わせることになります。テザリングを続けると電池の減りが早くなり、夏の車内では端末が熱を持って速度が落ちたり、充電が止まったりすることがあります。さらに、商談中に電話がかかってくると、通話とデータ通信の組み合わせによってはPCの通信が不安定になる場合もあります。社用スマホの容量が少ないプランだと、月の後半に速度制限がかかり、会議が途切れがちになるのもよくある話です。
端末ごとにSIMを入れて回す場合
ノートPCやタブレットにそれぞれSIMを入れる方法は、つながりやすさでは安定します。一方で、端末の数だけ回線と請求が増えるため、使わない端末の分まで毎月払い続ける形になりがちです。人の入れ替わりや端末の更新のたびに、どの回線がどこにあるのかを管理する手間も積み上がります。
訪問先や店のWi-Fiを借りる場合
取引先で「どうぞ」と言われることはありますが、毎回あてにはできません。また、会社の情報を扱う端末を外部のネットワークにつなぐことを社内規程で禁じている会社もあります。借りられたら助かる、くらいの位置づけにとどめておくのが現実的です。
組み合わせの基本形は「通話はスマホ、データはWiFi一台」
三つの弱点を並べると、答えの形が見えてきます。スマホは電話とナビに専念させ、PCやタブレットのデータ通信はモバイルWiFi一台に集める。これが営業車でいちばん崩れにくい組み合わせです。
こうすると、スマホの電池と容量はテザリングに削られなくなり、夕方まで電話を取り逃がしにくくなります。PCとタブレットは同じWiFiにつなぐだけなので、端末が増えても回線は一本のままです。そして、モバイルWiFiの電池が切れたり電波が弱い場所に入ったりしたときだけ、スマホのテザリングを予備として使う。主と予備がはっきり分かれているので、どちらかが止まっても仕事が止まりません。テザリングとモバイルWiFiそれぞれの向き不向きはテザリングとモバイルWiFiの比較記事にまとめています。

車の中での置き場所と電源
モバイルWiFiは、ダッシュボードの上のように直射日光が当たる場所に置くと高温になりやすく、動作が不安定になることがあります。センターコンソールやドリンクホルダーの近くなど、日陰で窓に近すぎない場所が扱いやすい置き場所です。シガーソケットやUSBから給電しながら使うと電池切れの心配は減りますが、長時間の充電しながらの使用は端末が熱を持ちやすいので、夏場は様子を見ながら使ってください。電池を長持ちさせる工夫はバッテリーの記事で紹介しています。
二人以上で乗る日の考え方
設置や点検で二人一組になる日、先輩と同行する日は、端末が一気に三台、四台と増えます。テザリングで一人のスマホにぶら下がると、その人の容量と電池だけが削られていきます。WiFi一台に集めておけば、誰の端末でも同じ条件でつながり、使った量も一か所で見えるので、月末に誰かのスマホだけが制限にかかるという不公平も起きにくくなります。
働き方別の組み合わせ例
同じ外回りでも、動き方によって向く組み合わせは少しずつ違います。代表的な三つの形で考えてみます。
一人で担当エリアを回るルート営業なら、社用スマホ+モバイルWiFi一台が基本です。会議が少ない週はWiFiをほとんど使わないこともあるので、使う量に合わせて容量を足せる形だと無駄が出にくくなります。
二人一組で設置・点検・修理に回る仕事なら、WiFiは車に一台置きっぱなしにして、車両の備品として扱うのがおすすめです。人ではなく車に回線をひもづけると、担当が替わっても設定をやり直さずに済みます。
繁忙期だけ外回りが増える仕事、たとえば決算期や展示会シーズンだけ訪問が集中する働き方なら、外に出る月だけ容量を足すのが合理的です。普段は内勤でスマホだけで足り、忙しい月だけWiFiを動かす。これなら一年を通して固定費を払い続ける必要がありません。人数や端末をまとめたときの費用感は通信を一台にまとめたときの比較記事も参考になります。

車で使うときに気をつけたいこと
最後に、営業車ならではの注意点を三つ挙げておきます。まず、運転中に端末を操作しないこと。会議への参加や資料の確認は、必ず安全な場所に停車してから行います。次に、車内に端末を置いたまま長時間離れないこと。夏の閉め切った車内は高温になり、電池を傷めたり故障の原因になったりします。訪問中はかばんに入れて持ち歩くほうが安全です。三つめは、山あいや郊外の担当エリアでは電波の強さを事前に確かめておくこと。同じ地域でも会社によってつながりやすさが違うことがあるので、よく行く訪問先の周辺で一度試しておくと、当日の慌てを減らせます。
また、会社によっては業務で使う通信機器や回線について社内の決まりがあります。導入する前に、情報システムの担当者や上長に確認しておくと、あとから使い方を変える手間が省けます。
次の外回りの前に、決めておくと楽になる三つ
組み合わせを変える前に、次の三つだけ決めておくと迷いが減ります。一つめはスマホに何をさせて、何をさせないか。電話とナビはスマホ、PCとタブレットはWiFi、と役割を紙に書いて車に置いておくだけでも、使い方がそろいます。二つめは回線を人にひもづけるか、車にひもづけるか。担当が替わる職場なら車にひもづけたほうが管理が楽です。三つめは外回りが多い月と少ない月を数えること。一年のうち忙しい月が限られているなら、その月だけ容量を足す形のほうが総額は小さくなります。
電話はスマホ、データはWiFi一台、止まったときはテザリング。役割を分けて組み合わせると、営業車の通信は一つの手段に頼るよりずっと安定します。外に出る月にだけ容量を足せる形なら、繁忙期と閑散期の差がある仕事でも、使わない月の支払いを抱えずに済みます。
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