引っ越しをした月の明細を見て、通信費だけ妙に高いと感じたことはないでしょうか。使い方を変えたわけでもないのに金額が跳ねるのは、たいてい支払いが重なっているからです。旧居ぶんがまだ止まっていないうちに、新居ぶんの請求が始まり、その間をしのぐための通信費が別に乗る。三つが同じ月に並ぶと、合計は普段の二倍近くになることもあります。
この記事では、引っ越しの月の通信費を「旧居側」「新居側」「つなぎ」の三か所に分けて数えます。総額をいくらと言い切るのではなく、どこにいくら乗っているのかを見えるようにして、減らせる場所を先に決めるのが目的です。金額は本稿執筆時点の一般的な目安で、条件は事業者や物件ごとに違います。契約前に必ず公式の案内をご確認ください。

引っ越しの月に、支払いが重なる三つの場所
最初に全体の形を押さえておきます。引っ越しの月に発生しうるのは、次の三つです。
- 旧居側——解約する月の利用料、撤去にかかる費用、契約期間が残っていた場合の負担
- 新居側——工事費、事務手数料、そして開通前から始まることがある月額
- つなぎ——新居で回線が使えるようになるまでの代替の通信
厄介なのは、この三つがそれぞれ別の事業者から、別のタイミングで請求されることです。ひとつの明細にまとまらないので、合計しないかぎり重なりに気づけません。まずは三か所を別々に数えます。
旧居側でかかるお金を分ける
解約した月は、日割りになるとは限らない
見落としやすいのがここです。月の途中で解約しても、その月ぶんを満額請求する契約は珍しくありません。逆に日割りに対応している事業者もあります。どちらなのかで、同じ引っ越しでも一か月ぶんの差が出ます。
確認するのは二点だけです。ひとつは解約日の締め——月末締めなのか、申し込み日から起算するのか。もうひとつはいつまでに申し出れば当月扱いになるか。月末ぎりぎりの連絡だと翌月まで料金が発生する、という運用もあります。引っ越し日が決まった時点で、この二つを先に聞いておくと動きやすくなります。
撤去費・端末の残り・期間の縛り
利用料とは別に、次のものが乗ることがあります。
- 撤去工事費——建物から設備を外す作業が必要な場合。物件によっては不要です
- 端末の残債——分割で買った機器の残りが一括請求に切り替わることがあります
- 契約期間の途中解約にともなう負担——更新月かどうかで有無が変わります
これらは引っ越しの直前に調べても減らせません。減らす余地があるのは、更新月の位置を知って引っ越しの時期をわずかにずらせる場合だけです。まず「動かせる費用」と「動かせない費用」に分けてしまうほうが、考える時間を節約できます。契約時の費目そのものの読み方は月額だけで決まらない費用の見かたにまとめてあります。

新居側でかかるお金を分ける
工事費と事務手数料は「初月だけ」の費用
新居側で最初に乗るのは、初期費用です。開通工事の費用と、契約そのものにかかる手数料。この二つは初月に限った出費なので、毎月の料金と混ぜて考えないほうが判断しやすくなります。工事費を分割で払う形にすると月額が上がって見えますが、総額が増えているわけではない、という場合もあります。
課金の開始日は、使いはじめた日とは限らない
ここが重なりの正体になりやすいところです。申し込み日や開通日から課金が始まる契約では、実際に使う前の期間にも料金が発生します。工事が月初にずれ込んだのに課金は前月から、という形になると、使っていない期間ぶんがそのまま重なりになります。
申し込みのときに「いつから料金が発生するか」を一度聞いておくと、旧居の解約日をどこに置くかが決めやすくなります。
つなぎの通信にいくら払うか
三つ目が、開通までの代替です。ここは他の二つと違ってこちらで選べる余地が大きいので、分解する意味がいちばんあります。期間の見通しで選び分けるのが基本です。
- 数日でしのげる——スマホのテザリングで足ります。追加の契約は不要ですが、速度制限にかかると在宅の作業には厳しくなります
- 数週間で終わることが確定している——都度レンタルが向きます。返却の期限と送料の負担を先に確認しておきます
- 工事日が読めない、延びるかもしれない——使う月だけ払う形が無駄になりません
気をつけたいのは、つなぎのつもりで年単位の契約を結んでしまうことです。開通したあとも解約できないまま月額だけが残ると、引っ越しの月の重なりが翌月以降も続きます。どのくらいの通信量を見ておけばよいかは開通待ちに必要な容量の目安で、手段そのものの選び方は開通までのつなぎ方で詳しく扱っています。

重なりを減らすために、順番を変える
三か所を書き出すと、減らせる場所が限られていることが分かります。効くのは次の三つです。
- 工事日を先に押さえてから、旧居の解約日を決める——逆にすると、工事が延びたぶんだけ空白が伸びます
- 解約の申し出は締め日から逆算する——数日の違いで一か月ぶん変わることがあります
- つなぎを固定費にしない——必要な期間だけで終わる形にしておけば、翌月に持ち越しません
どれも金額の交渉ではなく、順番と日付の決め方です。費用の大きい旧居側・新居側は動かしにくいぶん、動かせるつなぎの部分をどう置くかで、月の合計はかなり変わります。
落ち着いたら、契約をもう一度そろえる
引っ越しが終わって開通したら、そこで一度立ち止まって、いま契約が何本あるかを数えておくことをおすすめします。つなぎで足した回線が残っていないか、旧居の解約が完了しているか。この二つを確認するだけで、翌月からの通信費は引っ越し前の水準に戻ります。
重なりは、引っ越しという出来事そのものより、止めるタイミングと始めるタイミングのずれから生まれます。三か所に分けて数える習慣があれば、次に引っ越すときも同じ手が使えます。
[…] 半年後に事務所を借りたとして、自宅の光回線はどうなるでしょうか。住み続けるなら家庭用として残せますが、事業用として引いた回線を事務所へ移すには、移転手続きや再工事、場合によっては解約と新規契約が必要になります。契約期間の途中なら違約金や工事費の分割残債が残ることもあります。引っ越しの月に通信費がどう重なるかは引っ越しの月、ネット代はいくら重なるのかで三か所に分けて数えています。開業直後は、まさにこれを一回多く踏むかどうかの分かれ目にいます。 […]
[…] 気をつけたいのは、止まる日が「申し出た日」ではないことです。多くは月末などの締め日まで使えるので、思っていたより空白が短いこともあります。逆に、開通予定日は工事の当日にすべて終わるとは限らず、機器の設定が翌日にずれることもあります。数えるときは空白を一日か二日多めに見ておくと、当日に慌てずに済みます。引っ越しを挟む場合に費用がどこで重なるかは、引っ越しの月、ネット代はいくら重なるのかで旧居・新居・つなぎの三か所に分けて数えています。 […]