モバイルWiFiの本体は、いつ替えるのか|持ち時間・つながるまでの手数・一年で使った回数の三つで、買い替えと持ち方の見直しを分ける
モバイルWiFiの替え時は、使った年数では決まりません。同じ使い方をしたときの持ち時間・つな…
秋は屋外の催しが増える季節です。地域のマルシェ、学校の文化祭、公園のフリーマーケット、週末だけ出るキッチンカー。準備で気を配るのは商品と値段と釣り銭、あとは天気くらい……のはずが、当日いちばん冷やりとするのは、列ができた瞬間にお客さまの画面へ「通信エラー」と出て、会計だけが前に進まなくなることです。ここでは出店の日に会計を止めないための通信の用意を、会場のWi-Fi・スマートフォンのテザリング・自前のモバイルWiFiという三つの手段で、同じ四つの軸に並べて比べます。電波の状況は会場や時間帯によって大きく変わりますので、数字はすべて目安としてお読みください。

アンテナは三本立っているのに、決済のアプリだけが読み込み中から動かない。出店の現場でよく起きるのはこの形です。決済でやりとりされるデータそのものは小さく、写真を一枚送るより軽いくらいです。ただし決済は「送って終わり」ではなく、店の端末と決済会社と、場合によってはお客さまの端末のあいだで短い返事を何度か往復させます。ですから通信量の多さより、返事が返ってくるまでの待ち時間に弱い。人が集まった場所では同じ設備に多くの端末がぶら下がって順番待ちが起き、この往復が伸びます。混雑した場所で通信が細くなる仕組みそのものは、花火大会のような人出の多い会場で電波が入らなくなる話と同じです。
もう一つ見落としやすいのが、その日に通信を使う機械が一台ではないことです。会計に使うスマートフォン、レシートを出すプリンタ、売上や在庫を見るタブレット、それに出店の様子をその場で投稿する自分の端末。三、四台までは意識しないまま増えます。同時につなぐ台数が増えると実際に何が起きるかを先に押さえておくと、当日あわてずに済みます。
比べる軸は四つに絞ります。①混み合う時間帯でもつながるか ②同時に何台まで面倒を見られるか ③電池が店じまいまでもつか ④その日にいくらかかるか。どれか一つが優れていても、残りが落ちると会計は止まります。
主催者が用意してくれている場合、費用はかからず、準備もいりません。弱点は二つあって、まず来場者と共用なので混雑の影響をそのまま受けること、次につながる範囲が本部や屋内に限られ、屋外のブースまで届かないことがあること。さらに、誰でもつなげる回線で会計の情報を扱うことには相応の注意が要ります。フリーWi-Fiにつないでよい場面と自分の回線に切り替える境目を読んだうえで、会場のWi-Fiは「主役」ではなく「あれば使う控え」に置くのが無難です。

手持ちのスマートフォンから電波を分ける方法です。追加の機械がいらず、端末が一台増える程度なら十分に実用的です。弱点は電池で、電波を分けている間の減り方は通常の使用より明らかに速くなります。そして会計用の端末と親機が同じ一台だと、電池が切れた瞬間に会計手段も連絡先も地図も同時に失います。予備の電池を持つ、車から充電できるようにしておく、といった備えが前提になります。両者の違いはテザリングとモバイルWiFiの向き不向きに詳しく書いています。

会計の端末とは別に、通信だけを受け持つ小さな機械を一つ置く考え方です。台数に余裕があり、電池も通信専用に使えるので、レジが二台あってもスタッフが複数いても回りやすくなります。何かあったときに「端末の問題か、回線の問題か」を切り分けやすいのも実務上は大きい。ただし本体の電池は無限ではありませんので、朝から夕方まで出るなら電池を長持ちさせる使い方を先に一度見ておいてください。
| 軸 | 会場のWi-Fi | テザリング | 自前のモバイルWiFi |
|---|---|---|---|
| 混雑時のつながりやすさ | 来場者と共用で影響を受けやすい | 周辺の混雑しだい | 周辺の混雑しだい(台数の余裕はある) |
| 同時に使える台数 | 制限がある場合が多い | 数台程度が目安 | おおむね数台〜十台前後が目安 |
| 電池のもち | 自分の端末は減らない | 親機の減りが速い | 会計端末と分けられる |
| その日の費用 | 無料のことが多い | 契約中の容量を使う | 使う日ぶんの容量を足す |
年に一、二回・ひとりで・会計端末は一台なら、テザリングで足ります。前日までに決済アプリの動作を家の外で一度試し、予備の電池を用意しておけば、そのために回線を増やす必要はありません。
スタッフが複数・レジが二台以上・その場で写真も投稿するなら、通信を受け持つ回線を一本分けたほうが落ち着きます。会計が止まったときに疑う場所が減り、電池の残りを会計のためだけに使えます。
屋内の商業施設で、主催者が業務用の回線を用意している場合は、会場のWi-Fiを主にして構いません。ただし当日の朝に自分のブース位置で一度つないで、実際に会計まで通ることを確かめてから決めてください。案内図の上でつながることと、自分の立ち位置でつながることは別です。
一つめ、現金と手書きの控えの受け皿を先に作っておく。釣り銭と、金額と品名を書ける紙を一枚。これがあるだけで、通信が戻るまでのあいだも列は進みます。
二つめ、切り替えを一手でできる状態にしておく。会場のWi-Fiから自分の回線へ、あるいはその逆へ。設定画面を探しているあいだに列は伸びます。朝のうちに両方つないでおき、切り替えの場所を体で覚えておきます。
三つめ、端末の再起動は最後にする。立ち上がるまでの数分は会計が完全に止まります。先に電波の表示、機内モードの入り切り、アプリの開き直しの順で試してください。なお、契約している回線そのものに条件がかかっていて遅くなっている場合もあります。「無制限」と書かれた回線でも条件によっては遅くなるという話は、当日ではどうにもならないぶん、契約の段階で確かめておく価値があります。
出店の通信でむずかしいのは、必要な日が飛び飛びだということです。春と秋に二回、あるいは月に一度の週末だけ。そのために年間の固定費を増やすと、使わない月のぶんがそのまま残ります。使う月と使わない月がある通信費を十二か月に分解して考えると、自分の場合にどちらが合うかが見えてきます。使う日だけ容量を足す形なら、出店の予定が決まってから用意しても間に合います。
買い切りの本体に、必要な月だけ容量を足して使うかたちです。使わない月に基本料が積み上がらないので、月ごとの差が大きい使い方と相性がよく、「足りなくなったときにどうするか」を先に決めておけます。
[…] 単発のイベント出店で会場Wi-Fiが混むという話は別の記事に書きました。あちらは「その日だけどう乗り切るか」、この記事は「毎週続く商売の通信費をどう設計するか」です。単発なら当日の工夫で足りますが、営業として続けるなら、通信は設備ではなく毎月出ていくコストとして組み込んだほうが判断が速くなります。 […]