訪問の仕事は、現場に着いてからが本番です。介護の記録、設備の点検票、修理の前後の写真——少し前まで紙とカメラで持ち帰り、事務所で入力していたものが、いまはその場でタブレットから送る形に変わりました。手戻りは減りましたが、そのぶん移動中と訪問先で通信が出ていく仕事になっています。
この記事では、訪問1件あたりに出ていく通信を内訳で数え、1日・1か月へ積み上げます。そのうえで、通信の用意のしかたを「社用スマホを増やす」「業務用に1台持つ」「件数が跳ねる月だけ足す」の三つに分け、どんな条件でどれが合うのかを並べます。挙げる数字はいずれも目安で、端末の設定や現場の電波状況によって変わります。
訪問1件で出ていく通信を、内訳で見る

量を決めているのは、ほとんど写真です
訪問の記録で通信量を決めているのは、文字ではなく画像です。スマホやタブレットの標準設定で撮った写真は、1枚あたりおおむね3〜5メガバイト。点検や修理では「作業前・作業中・作業後」を部位ごとに押さえるので、1件で10〜20枚になることは珍しくありません。15枚なら、それだけで50〜75メガバイトが上りにのります。
小さいけれど、回数が多いもの
- 報告書や点検票の同期:文字と表が中心なので1件あたり数百キロバイト〜数メガバイト。写真を貼り込むと、その写真ぶんだけ増えます。
- 電子サイン・チェックリスト:1回あたりは数十キロバイト。ただし1日に何十回も走るので、合計では無視できません。
- 位置情報・勤怠・移動中の地図:地図を出しっぱなしにすると、移動時間の長さに比例して増えます。
- 短い動画や音声メモ:30秒の動画で50〜100メガバイトに届くことがあり、1本入るだけで写真10枚ぶんを超えます。
整理すると、写真と動画が全体の八割以上を占め、文字は誤差という形になります。通信を減らしたいときに見るべき場所も、そのまま写真と動画です。
1日・1か月に積み上げるとどうなるか
1日6件のケースで数える
1件あたり写真15枚=約60メガバイト、報告書と細かい同期で約10メガバイトとすると、1件でおよそ70メガバイト。1日6件まわると、1日あたり約400メガバイトです。稼働を月20日とすると、記録だけで月8ギガバイト前後になります。
ここに、移動中の地図・社内チャット・調べもの・音楽などが日常的に乗ります。人にもよりますが、この分で月1〜2ギガバイトは見ておくと安全です。動画の記録を1日2件ぶんだけ足すと、さらに月2〜4ギガバイトが上乗せされます。

着地しやすいのは月10ギガバイト前後
ここまでを足すと、訪問系の仕事1人あたり月8〜12ギガバイトあたりに落ち着くことが多くなります。写真を高画質のまま送っている、動画を毎回撮る、複数の現場を長距離で回るといった条件が重なると、これを超えることもあります。逆に、写真の枚数が少ない業種や、事務所に戻ってからまとめて送る運用なら、半分程度で収まります。
大事なのは平均値そのものではなく、自分の仕事がどのくらいのばらつきを持っているかです。点検の法定シーズン、年度末、引き渡しが重なる月だけ件数が二倍になる——そういう形の仕事は、平均に合わせて契約すると繁忙期に足りず、繁忙期に合わせると閑散期に払いすぎます。
通信の用意のしかたは、大きく三つ
1. 社用スマホのプランを増やす
いちばん手数が少ない方法です。端末が1人1台で、送るものもスマホの中で完結しているなら、これで足ります。注意したいのは二点。足りなくなってから容量を買い足す形は、月額の中に含める場合と比べて割高になりやすいこと。そして、テザリングでタブレットやノートをぶら下げると、通信と画面で電池が二重に減ることです。
2. 業務用にモバイルWiFiを1台持つ
タブレット・ノート・サブのスマホなど、つなぐ端末が2台以上あるなら、まとめ役を1台立てたほうが素直です。写真の送信をそちらへ寄せれば、通話とメールの入っている社用スマホの電池と容量を守れます。台数ぶんの固定費は増えますが、端末ごとに回線を持つより安くなる場面が多い形です。

3. 件数が跳ねる月だけ足す
年間を通して件数が一定でないなら、使う月にだけ容量を足す形が合います。点検シーズンや繁忙期は厚くして、件数の少ない月は寝かせておく。固定費を月々の最小値に寄せられるので、閑散期の払いすぎが消えます。チャージ式のモバイルWiFiは、この形のために作られた持ち方です。
どれが合うかは「端末の数」と「月ごとのばらつき」で決まる
| 条件 | 合いやすい形 | 理由 |
|---|---|---|
| 端末は社用スマホ1台だけ/件数も一定 | プランを増やす | 機器が増えず、管理も1本で済む |
| タブレットやノートも使う/毎日つなぐ | 業務用に1台持つ | 写真の送信を寄せられ、スマホの電池を温存できる |
| 月ごとに件数が二倍近く動く | 使う月だけ足す | 閑散期の固定費が残らない |
| 複数人で現場を共有する | 業務用を1台+必要な月だけ増量 | 1台を中心に、人数ぶんの契約を増やさずに済む |
現場で止まらないための、小さな段取り
持ち方を決めたあとに効くのは、送り方の順番です。電波の弱い建物の中や地下で送信を始めると、途中で止まって再送になり、同じ写真を二度流すことになります。
- 送信は建物を出てから、車に戻ってまとめて:訪問先では撮って書くところまでにして、送るのは電波の落ち着いた場所で。
- 写真の保存画質を業務向けに下げる:記録として読めれば十分な場面は多く、ここを変えるだけで通信量は目に見えて減ります。
- 圏外の可能性がある現場は、図面と地図を先に落としておく:現地で開けない資料は、現地で取りに行けません。
- 通信を出す役と、操作する端末を分ける:1台に集めると、電池が切れたときに記録も連絡も同時に止まります。
まとめ
訪問の仕事の通信費は、料金表からではなく1件あたりの写真の枚数から積み上げると輪郭が出ます。1件70メガバイト前後、1日6件で400メガバイト、月20日で8ギガバイト前後——この数字を自分の件数に置き換えれば、増やすべきなのが容量なのか、台数なのか、それとも繁忙期だけなのかが決まります。
そのうえで、端末が2台以上あるならまとめ役を1台立てる。件数が月ごとに動くなら、動く分だけ足せる形にしておく。この二つを押さえると、現場で止まらず、閑散期に払いすぎない形に近づきます。
使う月だけ使える、チャージ式のWiFi
繁忙期や点検シーズンのある月だけ容量を足して、件数の少ない月は寝かせておけます。
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