和歌山県の山の上に、お寺と宿と商店が集まった町がまるごとあります。弘法大師・空海が開いた高野山です。大阪の難波から電車とケーブルカーを乗り継いで向かえるので、日帰りでも行けますが、山上のお寺に泊まる「宿坊」を選ぶ人も少なくありません。
この記事では、高野山の歩き方を「日帰り」と「宿坊に一泊」の二つのプランで比べ、それぞれに向く人と、山の上で困りやすい通信の備えをまとめます。所要時間や料金、施設の公開状況は季節や改定で変わるため、出かける前に各施設・交通機関の案内をご確認ください。
高野山は「三つの場所」を線で結ぶと歩きやすい

山上の見どころは大きく三つに分かれます。ひとつめが壇上伽藍で、朱塗りの根本大塔が立つ、空海が最初に整えた区画です。ふたつめが高野山真言宗の総本山である金剛峯寺。みっつめが、空海の御廟へ続く参道のある奥之院です。
壇上伽藍と金剛峯寺は歩いて行き来できる距離にあり、奥之院はそこから東へ離れた位置にあります。奥之院の入口から御廟までは長い参道が続くため、奥之院だけで1時間半から2時間ほどみておくと慌てずに歩けます。山上の町の中はバスも走っているので、足に自信がない方は区間ごとに使い分けると楽になります。
プラン①日帰り:朝早く出て、三つを一日で結ぶ

大阪方面から日帰りするなら、午前中の早い時間に山上へ着くことが鍵になります。電車とケーブルカーを乗り継ぐため、移動だけで片道2時間前後を見込むのが無難です。
歩く順番は、到着後にまず壇上伽藍と金剛峯寺を回り、昼食をはさんで午後に奥之院へ向かう流れが組みやすいと思います。帰りのケーブルカーや電車の時刻から逆算して、奥之院を出る時刻を先に決めておくと、参道の途中で時間を気にし続けずに済みます。
プラン②宿坊に一泊:朝の奥之院と勤行まで含める

高野山には、参拝者が泊まれるお寺(宿坊)が数多くあります。宿坊に泊まる最大の良さは、日帰りでは見られない時間帯の山を歩けることです。宿坊によっては朝の勤行に参加でき、精進料理の夕食と朝食がつくところもあります。
一泊するなら、初日は午後に着いて壇上伽藍と金剛峯寺をゆっくり回り、翌朝の人の少ない時間に奥之院を歩く、という分け方ができます。朝の参道は空気が澄んでいて、同じ道でも昼とはまったく印象が変わります。
二つのプランを同じ物差しで比べる
比べる軸は四つです。①移動の負担 ②奥之院を歩ける時間 ③予約の手間 ④費用の組み立て。
①移動の負担は、日帰りのほうが一日に往復を詰め込むぶん重くなります。②奥之院の時間は、宿坊一泊なら朝に回せるので余裕が生まれます。③予約の手間は、日帰りならほぼ不要、宿坊は事前の予約が前提です。④費用は、日帰りなら交通費と拝観料・昼食が中心、宿坊一泊ではそこに宿泊費と食事が加わります。
まとめると、「三か所を見ること」が目的なら日帰り、「奥之院を歩くこと」が目的なら宿坊一泊が選びやすい分け方です。旅の費用を項目ごとに積み上げる考え方は鎌倉を1日歩くと実際いくらかかるのかでも試しています。
山の上で困りやすい、通信の場面
山上の町なかではスマートフォンが使える場面がほとんどですが、行程のなかには電波が細くなりやすい区間があります。山あいを走る電車やケーブルカーの区間、杉木立に囲まれた奥之院の参道の奥などは、場所や通信会社によってつながり方が変わります。
困るのは、帰りの電車の時刻を調べたいとき、はぐれた家族と連絡を取りたいとき、そして宿坊の場所を地図で確かめたいときです。どれも「その場で数分つながれば済む」ことばかりなので、備え方は難しくありません。
一つめは、帰りの時刻表と宿坊の地図を、出発前に端末へ保存しておくこと。二つめは、通信の手段を一本に頼らないことです。スマートフォンの回線に加えて、使う月だけ容量を足せるモバイルWiFiを持っておくと、つながり方が違う回線に切り替えられます。三つめは電池で、写真を撮りながら一日歩くと思った以上に減るので、外出先でWiFiだけ先に電池が切れるで紹介した備えをしておくと安心です。
電波が立っているのに遅いときの切り分けはモバイルWiFiが圏外になったとき、上から順に試す7つのことに、同じように山あいの寺をめぐった記録は那谷寺の紅葉を1日でめぐるモデルコースにまとめています。
出かける前のチェック
最後に、日帰り・一泊どちらでも役に立つ確認を並べておきます。帰りの電車とケーブルカーの最終に近い時刻を控えておくこと。拝観する施設の公開時間を確認しておくこと。山上は平地より気温が低くなりやすいので、羽織るものを一枚持つこと。そして、地図・時刻表・連絡の三つを、電波が弱い場所でも困らない形にしておくことです。
高野山は、急いで回っても、ゆっくり泊まっても、それぞれの良さがある場所です。自分の旅の目的に合わせてプランを選び、通信と電池の備えだけは先に済ませておくと、山の上では歩くことに集中できます。
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