賃貸の部屋で光回線を申し込むと、受付はすんなり通るのに、そのあとで「この建物では工事ができません」と連絡が来ることがあります。申し込みの画面には住所を入れただけなので、通ると思ってしまうのは無理もありません。ところが回線の工事は、部屋を借りている人だけの判断では決められない部分を必ず含んでいます。
この記事では、工事の許可がどこで止まるのかを四か所に分け、申し込む前に自分で確かめられる順番を並べます。そのうえで、どうしても下りなかった日に残る持ち方を四つ比べます。費用そのものの数え方は工事の許可が下りない部屋で、ネットはいくらで用意できるのかにまとめてありますので、この記事では許可が出るかどうかの見分け方に絞ります。なお建物ごとに事情が違うため、ここに書くのは一般的な流れで、最終的な可否はその物件の所有者と管理する会社の判断になります。

申し込みが止まるのは「受付」ではなく、そのあとの確認です
光回線の申し込みから使えるようになるまでは、おおまかに次の順で進みます。どこで止まったのかが分かると、次に誰へ連絡すればよいかも決まります。
- 受付=住所と希望日を入力する段階です。ここは建物の事情を見ていないので、たいてい通ります
- 設備の確認=その建物に回線の設備が来ているか、机上で照らし合わせます
- 現地の調査=実際に建物を見て、部屋まで線を通せるかを確かめます
- 所有者と管理する会社への確認=建物に手を加える以上、持ち主の了解が要ります
- 工事の日取り=ここまで通ってはじめて日付が決まります
申し込みの直後に表示される「開通予定日」は、多くの場合いちばん早い場合の目安です。三番目と四番目で止まると、その日付はそのまま消えます。引っ越しの日に合わせて家電や在宅勤務の予定を組んでいると、ここでの数日が効いてきます。
止まる場所は、大きく四か所に分かれます
「工事ができない」と言われたとき、理由は一つではありません。どれに当たるかで、打つ手がまったく変わります。
一つめ=建物まで設備が来ていない
そもそも道路から建物へ線が引かれていない場合です。山あいや造成から間もない地域だけでなく、都市部でも古い建物では残っています。この場合は新しく引き込む工事になり、電柱から建物へ線を渡すことになるため、建物の持ち主の了解に加えて、近隣の敷地をまたぐかどうかの確認が入ることがあります。部屋の中の話ではないので、入居者だけでは進められません。
二つめ=建物までは来ているが、部屋までの道がない
集合住宅では、建物の共用部まで来た線を、各戸へ分けて配ります。その通り道になるのが配管です。配管がすでに他の部屋の線でいっぱいだったり、途中で曲がっていて新しい線を通せなかったりすると、ここで止まります。既にある電話の線を使えることもありますが、使える設備かどうかは建物によって違います。

三つめ=規約や契約で止まる
物理的には通せるのに、決まりごとで止まる型です。よく挙がるのは次のような点です。
- 壁に穴をあけてよいか=線を外から入れるために、小さな穴をあける工事になる場合があります
- 共用部に手を加えてよいか=廊下や外壁は借りている部屋の外側なので、扱いが別になります
- 退去のときに元へ戻せるか=戻す範囲と費用の持ち方を、あらかじめ決めておく必要があります
この型は交渉の余地が残っていることがあるのが特徴です。穴をあけない方法が選べるなら、断られた理由そのものが消える場合があります。
四つめ=了解を出す相手がすぐに分からない
一棟をまるごと持っている大家さんなら話は一本で済みますが、分譲された住戸を借りている場合は、部屋の持ち主に加えて建物全体の決まりごとを扱う組織の判断が要ることがあります。借り上げの形で間に会社が入っていると、窓口がさらに増えます。ここで時間を取られる人は多く、しかも申し込んだあとで判明します。
申し込む前に、この順番で確かめると早く終わります
順番を逆にすると、同じことを二度聞く羽目になります。おすすめは次の並びです。
- 建物の名前で、設備が来ているかを先に調べる=回線の会社の窓口で、住所と建物名を伝えれば確認できます。部屋番号まで分かると、より確かです
- 管理する会社に「もう入っているか」を聞く=すでに他の部屋が使っているなら、二つめの配管の心配はかなり減ります
- 工事の中身を具体にしてから、了解をもらいに行く=「ネットを引きたい」ではなく「どこを通して、穴をあけるかあけないか、退去のときにどう戻すか」まで言えると、返事が早くなります
- やりとりを文字で残す=口頭だけだと、退去のときに話が食い違います。短い連絡でも、書いたものを一通残しておきます

三番目が効くのは、断る側の心配がはっきりしているからです。持ち主が気にしているのは建物が傷むことと、退去のあとに手間が残ることで、「ネットを引く」こと自体ではありません。心配している中身に先に答えると、同じ依頼でも通り方が変わります。
穴をあけずに通せる場合もあります
線を入れる道は、壁に穴をあける方法だけではありません。物件によっては、次のような通し方が選べます。どれも使えるかどうかは現地を見た人の判断になりますので、できると決めてかからず、調査のときに相談してみてください。
- もとからある電話の線を使う=新しく通さずに済むぶん、工事が軽くなります
- エアコンの配管の通し口を借りる=すでにあいている穴なので、新しくあけずに通せる場合があります
- 窓のすきまを通す細い線を使う=窓を閉めたまま線を外へ出す方法で、戻すのも容易です
いずれも「穴をあけないなら構わない」と言われたときに効く手です。断られた理由が穴だったのか、共用部に触ることだったのかを聞いておくと、どれを提案すればよいかが決まります。
それでも下りなかった日に残る、四つの持ち方
ここまでやって駄目だったときは、工事のいらない方法へ切り替えます。四つ並べて、効いてくる違いだけを比べます。

| 持ち方 | 工事 | 使えるまで | 使わない月 | やめるとき |
|---|---|---|---|---|
| 建物の備え付けを使う | 不要 | 入居した日から | 家賃に含まれることが多い | 退去と同時 |
| 据え置き型の機器を置く | 不要 | 届いた日から | 使わなくても毎月かかる | 解約の手続きと返却が要る場合がある |
| スマホから分ける | 不要 | すぐ | もとの料金のまま | 設定を戻すだけ |
| 容量を買って置いておく一台 | 不要 | 届いた日から | 足さなければ増えない | 使い切ってから手放せる |
表で差が出るのは右の二列です。毎月決まった額を払う形は、在宅の時間が長い人には向きますが、月によって使う量が大きく違う人だと、使わない月のぶんがそのまま重なります。逆に、必要なときだけ足す形は、毎日たっぷり使う人には足りません。どちらが得かではなく、自分の使い方がどちらの形に近いかで分かれます。
備え付けがある建物なら、まずそれで足りるかを試すのが順当です。足りなかったときの考え方は「インターネット無料」の賃貸でネットが足りないときにまとめています。寮や社宅のように、そもそも自分で回線を引く前提になっていない住まいの場合は寮・社宅・ウィークリーマンションのネットはどうする?のほうが近いはずです。
住む期間と、月ごとのむらで決める
最後は二つの軸で絞ります。一つめは、その部屋にどれくらい住むかです。数年住むなら、多少手間でも工事の相談を続ける価値があります。一年未満だと、許可を待つ日数と手続きの手間のほうが大きくなりがちです。
二つめは、月ごとのむらです。毎月ほぼ同じだけ使うなら、定額の形が素直です。ところが、在宅の月と外に出ている月の差が大きい、繁忙期だけ増える、家族が帰ってくる月だけ跳ねる——という使い方だと、少ないほうに合わせておいて、必要な月だけ足す形のほうが総額が小さくなります。
許可が下りないと分かった日に急いで決める必要はありません。その日からつなぐ手段を一つ確保しておき、落ち着いてから長い付き合いの形を選ぶのでも遅くはありません。すぐ使える手段の選び方は今日からネットが要るとき、いちばん早いのはどれかにまとめてあります。
使う月だけ使える、チャージ式のWiFi
工事も、使わない月の固定費もありません。必要な月に容量を足して、使わない月は寝かせておけます。
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