モバイルWiFiの本体は、いつ替えるのか|持ち時間・つながるまでの手数・一年で使った回数の三つで、買い替えと持ち方の見直しを分ける
モバイルWiFiの替え時は、使った年数では決まりません。同じ使い方をしたときの持ち時間・つな…
同じ家の中なのに、リビングでは止まらない動画が、二階のいちばん奥の部屋に移動したとたん固まる。オンライン会議で自分の声だけ遅れて届く。アプリの更新がいつまでも終わらない。こういうとき、まず疑われるのは契約している回線のほうですが、実際には「回線は足りているのに、その部屋まで電波が届いていない」というだけのことが珍しくありません。
ここを取り違えると、出費だけがかさみます。原因が回線なら乗り換えや増速が効きますが、原因が家の中の距離や壁なら、どれだけ速い回線に替えても奥の部屋は変わらないからです。この記事では、切り分けのしかたを先に置き、そのうえで打ち手を四つ並べて「工事がいるか」「あとで戻せるか」で選び分けていきます。

確認は三手で足ります。ひとつめは、親機のすぐ横で通信の速さを測ること。ふたつめは、困っている部屋へ移動して、同じやり方でもう一度測ること。みっつめは、その二つを並べて比べることです。
親機の横では十分に出ているのに、奥の部屋でだけ大きく落ちるなら、問題は回線ではなく家の中にあります。逆に、親機の横でも奥の部屋でも同じように遅いなら、それは回線側の話で、本記事の打ち手ではほとんど改善しません。電波の本数が立っていても遅いことはあるので、本数ではなく実際の速さで見てください。
回線そのものが遅いときの切り分けの順番は「遅い」原因を混雑・速度制限・端末に分ける記事に、どれくらいの速さがあれば動画や会議が止まらないのかは用途別に必要な速度を並べた記事にまとめてあります。この記事はそこから切り分けた先、「親機の横では速いのに、特定の部屋だけ遅い」場合だけを扱います。
家庭用の電波には性質の違う二種類があり、速いほうは壁や床に弱く、遠くまで届くほうは混み合いやすいという関係になっています。速いほうを選んでいる端末が奥の部屋へ移動すると、速さを保てないまま距離だけが伸びて、結果として途切れます。階をまたぐと、床の構造材や断熱材がそのまま減衰の原因になります。

電波は直線で進むので、あいだに何が入っているかで届き方が変わります。鉄筋の入ったコンクリートの壁、浴室や洗面所などの水まわり、金属製の棚や扉、大きな鏡、作り付けの収納は、いずれも電波を通しにくい部類です。間取り図の上では隣の部屋でも、あいだに水まわりが一つ挟まるだけで体感が変わることがあります。
見落とされやすいのがここです。配線の都合で玄関近くの収納の中に押し込まれていたり、テレビの裏側や床に直置きになっていたりすると、家の端から電波を出していることになります。置き場所は、できるだけ家の中央寄りで、床から少し高く、扉の内側ではない場所が基本です。ここを直すだけで届く部屋が増えることもあるので、お金をかける前に一度試す価値があります。
置き場所の見直しで足りなかったときに残る選択肢は、おおむね次の四つです。費用の大小よりも、「工事や配線がいるか」と「使わなくなったときに何が残るか」で並べると決めやすくなります。

| やり方 | 工事・配線 | 効果の読みやすさ | 使わなくなったとき |
|---|---|---|---|
| 中継器を足す | 不要(コンセントに挿す) | 置く場所で大きく変わる | 機器が手元に残る |
| 家全体を網でおおう仕組みに替える | 不要〜配線あり | 読みやすいが親機ごと入れ替え | 設備として残る |
| その部屋まで有線でつなぐ | 必要(配線または工事) | いちばん確実 | 配線が残る。賃貸では難しい |
| その部屋に別の一台を置く | 不要 | その部屋だけを独立して確保 | 使う月だけに戻せる |
上の三つは「家の設備を増やして電波を奥まで運ぶ」考え方で、いちばん下だけが「運ぶのをやめて、その部屋で別に受け取る」考え方です。家じゅうで困っているなら上の三つ、困っているのが一部屋だけなら、いちばん下が手数としては最少になります。今の回線はそのまま残すので、戻すときも解約の一手で済みます。
同じ一部屋でも、使う期間が決まっているかどうかで向き不向きが入れ替わります。十年その部屋で仕事を続けるなら、有線を通してしまうほうが結局は安く確実です。一方で、期間が区切られているなら、設備を増やすと「使わなくなった設備」だけが残ります。
期間が区切られやすいのは、受験のあいだの子ども部屋、在宅勤務が続く数か月、親が同居するあいだの一室、ガレージや離れを一時的な作業場にする場合などです。受験の数か月だけ回線をもう一本足す考え方は、まさにこの形で、家のWi-Fiは残したまま、その部屋ぶんだけを分けています。
その部屋に一台を置くと決めたら、契約の前に次の三つを出しておくと容量選びで迷いません。
ひとつめは、その部屋で何をするか。会議や授業で自分の映像を送るなら送る側の通信が、動画を見るだけなら受け取る側の通信が中心になります。ふたつめは、一日に何時間つなぐか。みっつめは、同時に何台つなぐかで、台数が増えたときに何が起きるかは同時接続の台数をまとめた記事に整理しています。
ひと月の量は、調べものや文書のやりとりが中心なら三〜十ギガバイト、動画の視聴が毎日入ると二十〜五十ギガバイト、在宅勤務で会議が続くなら五十〜百ギガバイトあたりが見当になります。いずれも画質や設定で大きく動くので目安として扱い、迷ったら一段上から始めて翌月に下げるほうが、足りない月を作るより安全です。
家じゅうのどこで測っても遅い場合は、原因が回線側なので一台足しても体感は変わりません。地域として電波が弱い場所では、部屋に置いても期待した速さが出ないことがあるため、まず短い期間で試せる形から入ってください。対戦するゲームのように遅れの小ささが要る用途は、有線にはかないません。家の全部屋で同時に十台以上つなぐような使い方も、一部屋ぶんの補強では解決しません。
なお、回線そのものが止まった日にどう動くかは家のネットが落ちた日の復旧手順に分けて書いています。今回の「届かない」とは原因が違うので、合わせて読むと切り分けが速くなります。
一、その部屋で実際に電波を受け取れるか。二、置き場所と電源が確保できるか。三、使わない月にいくらかかるか。四、やめるときに何が残るか。四つめが、設備を増やす方法といちばん差が出るところです。
家のWi-Fiが届かないという悩みは、家全体の問題に見えて、たいていは一部屋の問題です。家全体の設備をやり直す前に、困っている部屋だけを切り出して、その部屋にいくら払う価値があるかで考えると、必要な出費はかなり小さくなります。
使う月だけ使える、チャージ式のWiFi
受験のあいだ、在宅が続く数か月、離れを使う季節だけ。必要な月に容量を足して、使わない月は寝かせておけます。
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